【一級建築士製図試験】元採点官のこぼれ話 採点の進め方やポイント等

はじめに

以前ちょっとだけ一級建築士の元採点官から聞いた話をまとめてみたいと思います。

その元採点官がどういった属性のひとなのか、ということは伏せさせてもらいますが、製図試験が6時間半になってから製図の採点をやっていた人ということは確かです。

全般的にふわっとした話になりますが、これは、きっとドストレートの話はさすがに話せないのだと解釈してもらえればと思います。

確認できた内容についてですが、だいたい予備校などで手に入る情報と一致しています。

ただ、一部だけ、違うとところがあるかな~という印象です。

まぁ、採点基準や採点方法も時とともに変わっていっていることでしょうし、採点官の主観による部分もあるでしょうから、気休め程度に読んでいただければと思います。

採点全般について

採点方式は基本的に減点方式。ただし、加点される要素※もあるらしい

※印象点など、採点官の判断に委ねられる部分はおそらく加点要素と思われます。

点数算出ロジックは結構複雑で、単純な足し算、引き算ではないらしい。。。デス。

合否はファーストインプレッションでほぼ決まる。

基本的なルールを守れてるかどうか(うら動線、おもて動線、ゾーニングや、室、ホールの形状など)をパッとみて、合否イメージはほぼ決まるようです。

その後の採点もちゃんとするけど、だいたい第一印象の合否イメージ通りになるそうです。

つまり、基本的な部分が守れてないとかなり合格は厳しいし、

逆に守れてるとだいたい受かるということです。

第一印象悪くなりそうなら、全力でお化粧しましょう。(見栄えを整えましょう)

印象だけで、イチヌケになるという話(←これは私が直接聞いたわけではないですが、どこかから漏れ聞こえてきました。)

も聞いたことがあるので、やはり印象は重要です。

点数配分等の調整

受験生全体ができなさすぎた項目は、名目通り失格項目には出来ない場合もあり、減点にするなど、調整が行われているようです。

これはある意味当たり前と言えば当たりまえ。

採点は二人以上で実施

製図試験は、その性質上、採点基準をある程度決めても、人によって採点結果にバラつきがどうしても出てしましいます。

そのため、採点も必ず二人体制で実施しているようです。

何もなければ自分の答案の担当となった二人がOKと言えばそれでおわりなのですが、

二人の意見が食い違うと、他の採点官も含めて審議が行われるようです。

図面について

席数とか人数指定のある場合は、什器をちゃんと書くべし

つまり、逆に言うと、要求室で指定されてない什器は書く必要なし。書く時間あったら見直しした方がよいみたいです。

いっぱい書き込んでいると印象はよさそうですけど、あまり合否には影響ないと思われます。

印象の良い図面を書くべし

特に文字が汚いと印象悪いようです。印象点のようなものも存在するようですし、なにより採点官も人間なので、萎えてしまいます。。。

ただし、、、汚い図面で受かる人もまれにいる

書きなぐったような印象の悪い図面でも、減点しずらい図面であれば、なんとか合格する人もいるようです。

ただ、まれのようです。。。。

要点記述について

記述ではあまり差がつかない

記述は大手予備校の解答例のコピーみたいなのばっかりで、ほとんど差がつかないというコメントもありました。

また記述と図面を照らし合わせて矛盾がないか、といったチェックは細かく行ってはいないようでした。

これについては、何とも言い難いので、基本的には矛盾が生じないようにすべきだと思います。

 図面の補足説明は少なくても影響はない

ただし、補足説明の書き込みがないと理解できないものは書き込み必須

課題で求められていること(近年で言うと、パッシブアピールなど)に対する補足はあるといい。

あくまで必要な部分に絞って書くべきのようです。

プランニングについて

ホールや廊下の形状を整えるべし

廊下の蛇行や、不整形なホールは全体の印象を悪くします。

倉庫とか作って小細工しても、整えた方がよいみたいです。

 吹抜けの位置も重要

建物の真ん中らへんに効果的に設けてた方が、印象良いようです。

基本的には、どこに設けても減点はないが、圧倒的に多いのは風除室の上とのこと。(無難?作りやすいから?)

ただし、吹き抜けを有効活用できてないプランニングは、避けるべきのようです。

例えば、吹き抜けの周りを居室の壁で囲んだりするのは、NGです。何のための吹き抜け?という疑念が生じます。

こういうのを建築的常識と言うんでしょうけど。

かっこいいプランを目指さない

プランはありふれたプランでよいです。

採点していて、極まれに素晴らしいプランに出会うことはあるらしいです。

基本的にはその領域で勝負をしないのが吉。

階高を適当に設定しない

特定の天井が高い居室に引っ張られて、全部その高さに階高設定するというのは良くないようです。

経済性に配慮できていない建物とみなされる可能性があります。これも常識ですね。

緊急時の対応について

本番で緊急事態に陥ったら、下記はOKのようです。参考にしてみてください。

植栽は最低限一本は木を書く

植栽書く時間がなければ、とりあえず、木を一本植えときましょう。

これは、欠落とみなされない最低限の措置だと思われます。

 階段は最低限踊り場は書く

段数は刻まなくても、失格にはならない。時間がなければ、最低限踊場だけ書くべし。

人によるのかもしれませんが、段数まではぱっと見変でなければ数えないようでした。

ただ、梁に頭が当たるような階段はばっちり減点されるようです。

面積の過小、過大は寸法で帳尻あわせる

室面積を合わせることができず、どうしようもない状態になったら、数字で勝負をかけてください。

絵より数値が優先されます。

例えば、7×7のグリッドの面積を50㎡にしてしますとかです。多少であれば壁芯を少しずらしているという理屈が成り立ちます。

過去の標準解答例でも同じようなことしています。

その他

ゴミ置き場(ゴミ保管庫)はあればいい

予備校では、ごみ置き場(ゴミ保管庫)が、要求室なのか、屋外施設なのかによって、建物の内外を区別するように指導していると思います。
ですが、実際はそこまで厳密には見ていないようです。有れば〇、無ければ×という世界と思われます。

駐車場は取りあえずあればいい

駐車場の配置は、建物の配置計画を考えるうえでも、結構重要です。
予備校で推奨しているアプローチ空間の通路幅(2~3m)はあったほうがいいですが、マストではないみたいです。
また車路で車が回り切れるようになっているかどうかも、そこまで重要ではないようです。
これも、実際こんな駐車できないという無理そうなプランを見かけたりもしますが、そこは目をつぶっているようです。

予備校の解答例によく出てくる処理パターンが常に良いとは限らない

例えば、PC梁を、14メートルで計画して、うち、12メートルを居室、2メートル廊下にする計画。

時々予備校の解答例で見かけますが、良い架構計画とは言い難いようです。

pc梁は、大空間とかの大きいスパンに合わせて設計するのがよいみたいです。

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