ハーバードMBAとメキシコ漁師の寓話

はじめに

4、5年くらい前にネットで目にして、時々思い返す寓話があります。漁師とエリートサラリーマンの掛け合いの話です。幸せとは何か、働くとは何か、考えるネタとなります。

有名な話なので、ご存じの方も多いかもしれませんが、私の感想も含めて、紹介してみたいと思います。

ハーバードMBAとメキシコ漁師の寓話

話は、こうです。

メキシコの海岸沿いの小さな村を、アメリカ人エリートコンサルタントが訪れました。
波止場に止めてある漁師の船を見ると、黄色い背びれを持つ活きのいいマグロが獲れています。
そのアメリカ人コンサルタントはその船の漁師に尋ねます。

「その魚を釣り上げるのにどれくらいかかったのですか?」

メキシコ人漁師は答えます。

「数時間くらいかな。」

「なんでもっと長く海に残って、もっと魚を獲らないんですか?」

「家族が必要としている分があればそれでいいのさ。」

「では、仕事以外のときは何をして過ごしているんですか?」

「遅くまで寝て、魚を少しばかり獲って、子どもと遊び、妻のマリアと一緒にゆっくり昼寝をして、夕方頃には村に散歩に出て仲間たちとワイン片手にギターを弾いて楽しむね。本当に充実した毎日だよ。」

それを聞いて、コンサルタントは鼻で笑いながら言いました。

「私はハーバード大学を卒業してMBA(経営学修士)を取得したコンサルタントです。そこであなたに助言をしましょう。まず、あなたはもっと漁をする時間を長く取るべきです。そして、大きな漁船を買ってください。そうすれば、もっと魚を取ることが出来て、さらに多くの船を買うことができますよ。最終的には大きな漁船団を手に入れることが出来るでしょう。」

「また、仲介業者を挟まずに獲れた魚は加工業者に直接出荷しましょう。最終的には自分の加工工場を作ることが出来るでしょう。製品、加工、流通に関してすべて自分でコントロールできるようになりますよ。」

「そしたら、こんな小さな漁村を離れてメキシコ・シティに移り、その後ロサンゼルスに、最終的にニューヨーク・シティへ進出するんです。あなたの大きくなった会社を経営できるようにね。」

それを聞いた漁師は、コンサルタントに聞きます。

「で、それはどれくらいかかるんだい?」

「15~20年くらいですかね。」

「じゃあ、その後は?」

コンサルタントは興奮気味に答えます。

「ここからが最高ですよ。あなたの会社を株式公開して、自社株を大々的に売り出すんです!あなたは巨万の富を手に入れ、一躍億万長者に成り上がるのです!」

「巨万の富か…それで、次は?」

コンサルタントは満面の笑みで答えます。

「そしたら、大金を持って早期リタイヤですよ!あなたの好きなことがなんでも出来るんです!遅くまで寝て、魚を少しばかり獲って、子どもと遊び、妻のマリアさんと一緒にゆっくり昼寝をして、夕方頃には村に散歩に出て仲間たちとワイン片手にギターを弾いて楽しんだりできるでしょうね!」

 

 

この寓話の解釈

この寓話の最後の一文が問題です。メキシコの漁師からすると、巨万の富を得た後の生活は、今の生活と全く同じです。つまり、もう手に入れているのです。この寓話は、『MBAなんて取っても、この程度のコンサルしかできなのだから意味がない』というアメリカンジョークととらえることもできます。確かにそういったとらえ方もできるかもしれませんが、本当にそれだけでしょうか。

別の側面から考えてみます。

  • メキシコの漁師の考え=今やりたいことを今したい
  • ハーバードMBAの考え=本当はやりたいことがあるけど、万全の準備をしてからやるべき

というとらえ方ができると思います。結局のところ、メキシコ漁師が送っているようなスローライフは、意外と万人が送りたい生活だと思います。

両者の違いは、同じ生活を送り始めた時、全く異なるということです。

仮に20年後、同じメキシコの海岸沿いの小さな村にハーバードMBAの教えを実行して億万長者となった漁師(MBA漁師とします)が移住してきて、悠々自適な生活を送り始めたとします。すると、それを見た今までと変わらない生活を送ってきたメキシコ漁師は、MBA漁師をどう思うでしょうか。

私が、メキシコ漁師だとしたら、これから同じ生活を送れるのだとしたら、MBA漁師を羨むと思います。

メキシコ漁師の生活は、漁がうまくいかないリスクがあり、今後の家族を含めた生活の保障も十分にあるとは言えないからです。

その点、MBA漁師は、十分な蓄えがあり、将来の不安も少ないといえます。そして、万一、港町でのスローライフに飽きて、別のことがしたくなっても、始めやすいといえます。つまり、お金があるということは、選択肢が増えるということです。

また、事業拡大に成功した経験は、仮に他のことをしようとした時も生きるはずです。一瞬にしてお金を失った与沢翼さんが、また再起したように。

 

一方で、こういう考え方もできると思います。もしかすると、メキシコ漁師はこういうとらえ方をするかもしれません。

「MBA漁師は、20年間もこの楽しい生活を放棄して、事業拡大のために身を粉にして働いてかわいそうだな」

20年といえば、かなりざっくりいうと一般的な人の労働期間の約半分に相当します。また、その期間は、人生の中での比較的油ののった充実した期間とも言えます。そんな重要な期間を本望でないライフスタイルに終始してよいのかということです。

そもそも元気な間に頑張って働くというのは悪いことなのか。。。働いて社会貢献することで生きる意味が感じられるのではないか。。。

「働く以外、生きている意味があるの?」とマツコ・デラックスは、以前テレビで言っています。

メキシコ漁師の生活も決して悪いものではない。ただ、MBA漁師の生活のほうが、多くの人にとって目指すべき方向に思えます。

人によって意見が分かれるでしょうし、色々と考えさせられる寓話です。

そして、さらに、悠々自適な生活を送るのであれば、どこがいいでしょうか。

メキシコでしょうか。


私は沖縄の離島もなかなかいいと思います。


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