【一級建築士製図試験】不合格になりやすい人の10の特徴とリカバリ

はじめに

製図試験は、向き・不向きが出やすい試験だと思います。

知識面、技能面ともに、約2ケ月半駆け抜けるように勉強すれば、一応合格水準に達する試験です。

にもかかわらず、何度も受けてようやく合格する人や、途中で取得を諦める人がいるのも事実です。

私は、この試験の受験生は、下記の3種類に分類できると考えています。

  1. 合格しやすい(試験に向いている)人
    → 高確率で試験に合格
  2. 不合格になりやすい(試験に不向きな)人
    →  高確率で試験に不合格
  3. 上記以外の大多数の受験生
    → 努力量×運(コンディションや、当日の微妙な判断など)で合否が決まる

そして、私自身は、元々②の不向きなタイプの人間から始まって、弱点をつぶすことで、③のその他大勢になり、何とか合格できたのではないかと考えています。

ということで、今回は、私が考える『不合格になりやすい人の傾向(特徴)と、取るべき対策』について、紹介しようと思います。

不合格になりやすい人の傾向

元不合格になりやすい人代表の私が考える不合格界のレジェンドたちに見られる傾向は、概ね下記の10個デス。

私のことを言っているものもあれば、そうでないものもあるので、悪しからず。

  1. おおざっぱ
  2. 見栄えを気にしない
  3. 試験本番で『はじめて』をする
  4. チェックが甘い(ミスが多い)
  5. 成り行き感のあるプランニング
  6. 言葉足らず
  7. 過去の課題に引っ張られる
  8. 正直者すぎる
  9. 自分の弱点から目を背ける
  10. シミュレーション不足

取るべき対策

①おおざっぱ

これは、かつての私デス。

私の性格として、ある程度ゴールにたどりつく道筋が見えたら、それで満足してしまう傾向がありました。

なので、『エスキスがまとまりそう』という段階で満足してしまって、『エスキスをまとめきる』ということをちゃんとできていなかった記憶があります。

この辺りのことは、下記の記事でも触れています。

【一級建築士製図試験】エスキス作成のキモ 合格に必要となるエスキスは人それぞれ  

途中で満足してしまうというのは、小学校の時にやっていた将棋の影響が少なからずありそうな気がしています。

『勝ち手が見えたらその後はもうどうでもよくなる』ということがよくあり、その時の感覚が体に染みついているような気がしてなりません。

一度心理的にどうでもよくなったものに対して、再度向き合ってちゃんと細部を詰めるというのは、私にとっては、苦痛だったのです。

対策

自分の性格と試験で求められていることを照らし合わせて、やりたくなくても、チャンとやる。

②見栄えを気にしない

これも、かつての私デス。

採点官様に見てもらって、良い評価をしてもらわないと合格できないので、分かりやすい図面というのはマナーであると思います。

明確にきれい、汚いという見栄えが点数化されているかどうかはわかりませんが、私が以前かき集めた情報だと、『ぱっと見の印象≒合否』というくらい重要なものであるようです。このぱっと見の印象は、図面の良しあしとプランニングの良しあしを総合したものだと推測しています。

なので、単純な話ではないですが、図面が汚いと「この人わかってないんじゃないか?」という疑念から、より厳しく採点されるようです。

これは、多くの予備校講師が口をそろえていうことなので、間違いなさそうです。

対策

日ごろからなるべくきれいな図面を短時間で量産する練習を積むしかないです。

③試験本番で『はじめて』をする

試験本番は、あくまでも、試験前日までに積み上げてきた成果を『置き』に行くような覚悟で臨むべきだと考えます。

居合道の教えに『勝負は鞘の内にあり』という言葉があるそうですが、試験当日の奇跡には、期待せずに、『できること、やったことがあること』で勝負するという考え方が吉です。

よくあるのが、思いのほか調子よく問題が解けたので、ちょっと冒険して(より高みを目指して)、慣れないことをして失敗するパターンです。

対策

試験本番では、自分が使い慣れた武器で勝負する。余裕があっても、慣れないことには手を出さない。100点を目指さずに80点くらいで我慢できるメンタルを持つ。

④チェックが甘い

ミスが一定数重なると確実に不合格になります。よって、ミスをいかにして減らすかが、この試験のキモです。

チェックが甘いというのは、チェックが効率的にできていないということです。なんとなーく一式図面が出来上がって、チェック時間がそれなりに取れても、チェックするスキルを磨いておかないとなかなかミスを減らすことはできません。

対策

自分がミスしやすい点をよく理解しておく。チェック項目をリスト化し、何度も繰り返して体に覚えこます。

⑤成り行き感のあるプランニング

これは、チェックが甘いと関連性がありますが、試験本番は意外と普段しないようなミスをしでかしたりするものです。途中で室の欠落などのミスに気付いて無理やり調整しようとすると、どうしてもプランニングに成り行き感が出てしまします。プランが乱れると、建物として成り立っていても、なかなかいい印象の答案とはならないでしょう。

対策

明確な意図をもって、きれいなプランニング(廊下はまっすぐ、室・スペース形状は整形)をし、早い段階で、ヌケモレを何度もチェックする。そういう習慣を身に着ける。

⑥言葉足らず

2015年の試験からだったと記憶していますが、図面への補足説明が求められるようになりました。これは何を意味するかというと、判断が難しいものは、ちゃんと説明しないと容赦なく減点されるということです。口頭での質疑応答のようなものです。ただ、質疑はないので、一方的に試験官からの質問を想定して答えを書いておくという作業です。必要なことを過不足なく説明する。わかってくれるだろうという希望的観測の先に待つのは、チンボッツです。

対策

やみくもに補足説明を書くのではなく、質問として挙がりそうな点について、ちゃんと過不足なく説明文を記載する。

試験官なら、きっとこう解釈してくれるだろうという希望的観測は一切抜き! 試験官の気持ちになって想像力を働かせる。

⑦過去の課題に引っ張られる

前日にやった問題等、今まで解いたことある問題と試験問題を重ねてしまい、余計なバイアスがかかってしまい、結果自分で勝手に問題を難しくしてしまうパターンです。

対策

真新しい問題を解く気持ちで試験に臨む。

試験場には、総合資格も、日建も、TACも、ウラ指導も、建築士.comもなにもないのです。どれとも似ているようでちょっと違う、そんな真新しい問題が置いてあるだけなのです。

⑧正直者すぎる

大枠ができていれば、小さい部分は、多少ほころびがあっても影響は小さいというのがこの試験の特徴です。また、図面と数値に不整合があった場合は、数値が優先されるというルールがあります。このため、例えば50平米以上という要求条件の室があり、7×7グリッドで普通に考えると49平米だったとしても、室面積を50平米と書いておけば、それでヨシなのです。実際過去の回答例にも壁芯を若干ずらして面積確保しているものもあります。

減点されないように図面に化粧をするというものも必要な考え方なのです。

対策

どうしてもやむを得ない場合は、小さい部分であれば、目をつぶってごまかす。

⑨自分の弱点から目を背ける

自分がなぜ試験に落ちたのか、あるいは、模試でなぜ合格点が取れなかったのか。その理由を分析して対策を打つということをやらないと確実に不合格になりやすい人から抜け出すことはできません。

人により弱点はそれぞれです。例えば本番に弱いとか、なかなかミスが減らないとか。。。

補強できる弱点は補強すべきですし、できない部分は、何かでリカバリするしかありません。いずれにせよ、自分の弱点と対峙しないことには始まりません。

対策

自分自身とちゃんと向き合う。

⑩シミュレーション不足

本番では、結構想定外のことがかなりの頻度でおきます。想定外のことが起きやすいような要素が問題に仕込まれていることが多いです。

対策

一発不合格を回避するために、減点を最小限にするために、イレギュラーなことが起きた時の対応法をシミュレーションしておく必要があります。事前に数多くやっておくべきです。そして対応策が分からなければ、試験知識が豊富な人に質問しましょう。本当の想定外が起きた時も、こういった事前のシミュレーションで傷を最小限に抑えることができるとハズです。

おわりに

今回、不合格者の傾向についての私の見解を紹介しましたが、逆に言えば、それぞれ適切に対処することで、合格率を少しでも上げることができるはずです。

少しでもご参考になれば幸いです。

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