転勤族との出会い
「当社では全国転勤をしてもらうこととなるが、大丈夫か?」
第一希望であった会社の入社試験の面接で確か、こんなことを聞かれた記憶がある。
事前にリクルーターから、Yesと回答するように入れ知恵があったので、迷うことはなかった。
というか、当社には全国転勤がある採用枠と、エリア限定の採用枠というのがあり、
前者の全国転勤がある採用枠で応募しているので、正直なところ、意味不明な質問です。
意味分からない質問ではあるけれど、今にして思えば、
「わかっているよな?」
「転勤族のメリット、デメリットをよくわかってるよな?」
「君は、その上で転勤族になるのだよ?」
そういうことを、右も左もよく分からない学生に問うているのかもしれない。
あるいは、一応、採用条件の確認ということで、「転勤了承済みの言質」をとっておく事務的質問なのかもしれない。
確かに、これは重要なことだ。
しかし、学生に、転勤族のメリット・デメリットなど具体的にイメージできまい。
綿密にシミュレーションし、イメージを固めたところで、あまり意味はない。
年齢の重ねるごとに考えも変わるものだ。
さらに、人によっては、転勤なんていうのはオワコンだともいう。
確かに、リモートワークが否応なく浸透してきたに2020年において、オワコンの兆しも見えているかもしれない。
しかし、一方で、リアルなオフィスを介したコミュニケーションも一定は必要という見方も根強い。
COVID-19をトリガーに、新しいオフィスのあり方、新しい働き方を模索し始めた企業も多いと思います。
当社もその中の一社です。
どういう結論に落ち着くのか、まだわかりませんが、個人的には、COVID−19収束後、数年以内には一定の答えが出るんじゃないかと想像しています。
その結果如何では、転勤という概念は本当にオワコンになるかもしれません。
随分前置きが長くなってしまいました。。。
将来的に、『令和XX年代頃まで存在した就業スタイル』と記載される可能性がある転勤について、私の考えを書いてみたいと思います。
転勤族のメリット
色々な場所に行ける(行きやすい)
転勤はある意味では旅行です。
赴任先を拠点に全国色々なところに行けます。
例えば、今私は、福岡に赴任しているので、福岡を拠点に九州の各県や、中国地方各県には東京にいた時よりかなり気軽に行くことができます。
また、大阪に住んでいたときは、大阪の観光は当然のことながら、大阪駅から京都駅までJRで約30分、しかも、料金は今はなき昼間特割切符(通称)昼トク切符を利用すると、片道350円で行くことが出来るのです。
こちらは大阪で勤務していた時分、よく利用させてもらいました。
まぁ、はっきりいって、日本中どこに住んでいても、どこにでも行けます。
でも、単純に「行ける」と、「行きやすい」というのは雲泥の差があります。
かわいそうな東京民は、「そうだ京都に行こう」とか言いながら、思い立たないと、京都に行けません。
(↑本当は京都に行きたいヨギーニ)
ところが、転勤族@大阪民は、「気がつけば京都にいる」ことが多いです。
まぁこの点、レベルがまるで違いますね。
住むことで、その地域が見えてくる
当然のことながら、しばらくの間住むのと、旅行するのでは、その地域に対する印象というのは、まるで違います。
月がスッポンに見えることもあれば、グリーンピースがソラマメに見えることもあります。
私は、四国の某田舎、東京、大阪、名古屋、福岡にそれぞれ住んだことがありますが、まるで違います。
そして、出張などで福岡に行ったことで、福岡を知った気になっていたことを恥じました。
私の住んだことのある都市を好きな順に並べると下記のようになります。
福岡>大阪>東京>名古屋>ダイナマイト四国
なんという地元愛の低さ。。。
とにかく、福岡は最高すぎるのです。
何が、そんなに最高なのか。
そればっかりは、住んでみないと分かりません。
しかし、数々のシガラミにより、福岡に住むことができないかわいそうな皆さんのために、また今度気が向けば、福岡の魅力についてポストしたいと思います。
→ついに福岡市での生活についてポストしました。
どの地方であっても『住めば都』ということわざ通りです。
これは確かに、色々な土地に住んできた私には実感があります。
ですが、そもそも住めば都ということわざは、暗に、下記の意味合いを含んでいます。
「ん〜なんかイマイチだなと思ったとしても、時間の経過とともに、そのイマイチな感覚がジワジワと快感に変わっていくので、とりあえず住んでみんしゃい、まずは3ヶ月」
まぁ、福岡に関しては、ちょっと足を踏み入れた瞬間、イマイチな感じは一切なかったです。
ネットで調べたところによると、福岡は転勤族のブラックホールとも言われるようです。
人が変わるための契機
大前研一氏によると、人が変わるための方法は、下記の3つしかないと言っています。
「住む場所を変える」
「時間配分を変える」
「付き合う人を変える」
そして、転勤をうまく利用することで半ば強制的に上記の3つが変わります。
いいように変わるか、悪いように変わるかは、人それぞれですが、とにかく変われます。
転勤族のデメリット
家族へのダメージが大きい
独り身のうちは、転勤はそこまで大きな負担ではありませんが、やはり、所帯持ちになると色々大変です。
まず、配偶者がいて、転勤に着いてきもらう場合(単身赴任としない場合)、知り合いがいない土地で新たに生活を始めることになります。
転勤を命じられた本人は、会社という社会的なつながりがあるので、孤独感はそこまで強くないかもしれません。
しかし、いきなり全く知り合いがいない土地に来てしまった配偶者は、何かしら活動をしないと、かなり孤独感を味わこととなります。
こればっかりは、性格によります。
子供が転校生になるというのもちょっとかわいそうです。
手続きが面倒
当社の場合は、引越しは会社が手配してくれます。そのため、引越し自体はそこまで苦ではないです。
ただし、新居が決まろうが決まるまいが、強制的に転勤となるので、しばらくは、ホテル住まいとなります。
このホテル住まいの生活というのは、あんまり気持ちのいいものではないです。
住むところが決まらないと各種住所変更などの手続きを進められないからです。
そして、晴れて住所が決まったら、電気、ガス、水道、インターネット開通などの諸々の手続きをしなければなりません。
子供がいたら、転校などの手続きも手配しなければなりません。
自宅になかなか住めない
自宅を取得したとしても、転勤を頻繁に繰り返しているとなかなか自宅に住めないという問題が発生します。
これは、転勤族あるあるなのではないかと思います。
自宅を購入すると、大抵の人はローンを組むので簡単には会社を辞められなくなるので、会社からすると、強気で使っても大丈夫な都合の良い社員ができたということです。
自宅を購入してまもなく、転勤を命じられるということはよくあるといいます。
せっかく買ったのに自宅に住めない。
単身赴任であれば、自宅に家族を住まわせて、赴任先では社宅に入るという選択肢があります。
しかし、単身赴任でなく、家族みんなで引越しをするという選択をする人たちも稀にいます。
そういった人たちは、自宅を赴任している間、期間限定で貸し付けるという荒技を使ったりします。
プラマイゼロというかちょっとプラスくらいにはなると言ってました。。ほんと?
好きな家具が買えない
転勤をしている間は、なかなか欲しい家具が買えません。
大抵の場合は、家(器)に合わせて、家具などの調度品を用意するものだと思います。
しかし、なかなか器が決まらないものだから、家具とかのこだわりはしばらくオアヅケデス。
継続的な取り組みがしにくい
転勤は、大体2〜4年程度の周期で訪れます。
なかなか自分でコントロールできるものではないので、あと1年後、自分はこの土地に居ないかもしれない。。。などと考えると、足の長い取り組みはしにくいものです。
年間契約なんてもの、ちょっと躊躇ったりします。だって、年間契約でちょっと割引になったとしても、転勤してサービスが受けられなくなったら、無意味だもの。。
おまけ 転勤族のはじまり
私の初の赴任地は、広島でした。
今でも覚えています。
マンションが決まり、とりあえず、入居したものの、荷物がなかなか届かず、寝袋で寝た夜を。。。
あの頃は、転勤族というものをよく分かっていませんでした。
そして、私は今所帯持ちなので、これからますます転勤族を知ることになるでしょう。。。