はじめに
一級建築士の製図試験は、『エスキスが命』
エスキス手法はいろいろなやり方があります。予備校によってまず異なるのと、指導する講師によってもかなり異なってきます。
(実際に、私が合格した年に通っていた日建学院長期コースでは、予備校の標準的な指導内容とは全く異なった独自手法が展開されていました。。。)
今回は、エスキスのやり方ではなく、エスキスに何を書くべきか(どういうエスキスを作るべきか)という点について、私の考えをお伝えしたいと思います。
【経験談】エスキスがムチャ速だった初年度
誰よりも速く
初受験の際、私は自分のことを、エスキスが無茶苦茶速いスピードスターなのではないか?勘違いしていました。
1時間程度でエスキスが完了することも結構ありました。
「他の人はなぜこんなにエスキスに時間がかかるのだ?」という疑念もあり、講師にエスキスについて聞いた記憶があります。
結果、『エスキスに何を書くかはその人次第。その人が自分のエスキスを見て、図面が描けるのであればなんでもいい』ということがわかりました。
『そうか、なんでもいいのか!』と図面もエスキスをもとに一応書いているし、無問題ではないか!
私は講師の言葉を都合のよいように受け取り、スピードエスキスを続けました。。。
その年は最終的に、本番でもエスキスは1時間程度で終わり、記述も1時間程度で終わり、その段階で試験中『合格?』の文字が頭をよぎりました。
作図中起きた大どんでん返し
試験中に頭によぎった『合格?』の『?』が『!』に変わろうとしていたそんな時分。
自分の過ちに気づきます。作図中、微妙にプランが決まり切ってないところが出てきて、手が止まる。。。プラン修正。。。消し消し。。。等していたら、
鬼のように余っていた時間を順調に消費してしまい、結局最終チェック時間があまり取れない緊急事態となったのです。
製図試験では最終チェック時間を取ることが合否に直結するといわれています。細かいミスも積み重なれば、合否に影響します。最終チェック段階で、致命的なミスが見つかっても、なんとか苦肉の策を講じることはできます。なので、最終チェックは本当に大事です。
今思えば、私のエスキスは、エスキスではなかったのです。なぜなら、作図に時間がかかりすぎてしまうことがあるから。。。
エスキスに必要なもの
いいエスキスができれば、この試験は受かったようなものだと思います。
では、いいエスキスとは、どんなものでしょうか。
それは、作図の際に迷いが生じることがない(手が止まることがない)エスキスです。
これは、厳密には、作図を平行定規を使用するか、フリーハンドで行うかによって若干異なります。フリーハンド作図は下記の記事にも書きましたが、若干思考が入り込む余地のある作図法だからです。
ですが共通的には、決めるべきところはビシッとエスキスの際に決めておいたほうが結果、エスキス時間+作図時間の合計時間は短縮できると考えています。
『エスキスが出来上がれば、あとはマシーンのように図面を書くだけ』そういう状態のエスキスが理想です。
ただそのエスキスの状態は、自分にとってどのような状態のものなのかを見極めないといけません。何をどこまで書いておけば、自分が作図マシーンになることができるのか。
人によってそれは異なるので、自分にあったエスキスの完成像をトライ&エラーで見つけていくしかないです。
最初は必要そうなものは内部レイアウトも含めて全部書く。そして、慣れてきたら省けるものをどんどん省いていくという感じです。『便所』とか『住戸』等よく出てくるパーツは、目印だけつけておけば、ほぼ迷わず作図できるようになります。
ちなみにかつてのスピードスターの私のエスキスは大体、1時間半~2時間くらいで落ち着くようになりました。
2時間を超えてしまうような問題もごくまれにありましたが、その時であっても心中穏やかな状態を保てていました。フリーハンド作図で作図時間をある程度コントロールできるようになっていたからです。
これはフリーハンドでなくても、平行定規を使った作図方法でも作図が速ければ同じような気持ちの余裕を得ることが可能です。
さいごに
エスキス時間や作図時間を計測していくことは重要です。
ただ私が一番重要だと思うのは、エスキスと作図の合計時間を計測管理していくことです。エスキスがラフだとエスキス自体は早く終わりますが、その分作図にしわ寄せがくることもあります。
以前の私です。。。。
そしてエスキス完成後は、なるべく図面をカラフルにしたほうが、ミスに気づきやすいと考えています。
このため、色鉛筆(正確には色シャーペン)やマーカーなどを使って、チェック作業を行っていました。色鉛筆は、下記で紹介しているシャーペンタイプが使いやすくておススメです。